令和8年5月の給与明細から、健康保険料の欄の近くに「子ども・子育て支援金」という見慣れない項目が加わった方もいるのではないでしょうか。これは、児童手当の拡充などの財源の一部として、令和8年度から医療保険の加入者全員と企業が拠出する仕組みです。

この記事では、子ども・子育て支援金の仕組みと、会社員・自営業・75歳以上の方がそれぞれいくら負担するのかを、こども家庭庁と協会けんぽの公式資料にもとづいて整理します。

この記事でわかること

  • 子ども・子育て支援金とは何か、いつから誰が払うのか
  • 会社員の支援金額の計算方法(給与・ボーナス)と年収別の目安
  • 国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入している場合の負担
  • 令和9年度以降の見込みと、支援金が充てられる子育て支援
  • 給与明細に表示されていないときの確認方法

まず結論:会社員は「標準報酬月額×0.23%」を会社と折半

こども家庭庁によると、子ども・子育て支援金は加入する医療保険制度ごとに保険料が決められ、令和8年4月分から医療保険料とあわせて拠出する仕組みです。令和8年度の平均月額の試算は次のとおりとされています。

加入している医療保険令和8年度の平均月額(試算)徴収の始まり
健保組合・協会けんぽ・共済組合(会社員・公務員)被保険者1人あたり約550円(健保組合の試算)5月の給与から天引き
国民健康保険(自営業・無職など)1世帯あたり約300円6〜7月の納入通知書で通知
後期高齢者医療制度(75歳以上など)被保険者1人あたり約200円同上

会社員などの被用者保険では、国が一律の支援金率0.23%を示しており、基本的にその半分を企業が負担します。支援金総額は令和8年度に約0.6兆円、令和9年度に約0.8兆円、令和10年度に約1兆円を目安に段階的に増える仕組みが法律で定められています。

対象になる人(ケース別)

会社員・公務員

健康保険(協会けんぽ・健保組合・共済組合)に加入している本人が、給与と賞与から拠出します。扶養に入っている家族の分を別に払う仕組みではなく、本人の標準報酬月額・標準賞与額で金額が決まります。

自営業・フリーランス・退職して国保に入っている方

国民健康保険料(税)の中に「子ども・子育て支援金分」が新たに加わります。金額は各自治体の条例で決まるため、住んでいる市区町村によって異なります。

75歳以上の方

後期高齢者医療制度の保険料に「子ども分」が加わります。詳しくは「後期高齢者医療制度とは」で解説しています。

産休・育休中の方

こども家庭庁の事業主向けリーフレットでは、企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に、産休・育休中は支援金も免除されるとしています。

任意継続被保険者

協会けんぽの任意継続被保険者も、令和8年4月分から支援金率0.23%が適用されています。任意継続は会社負担がないため、保険料と同じく全額を自分で納めます。

確認するポイント

1. 給与明細に別の欄があるか

こども家庭庁は、給与明細で保険料の内訳として支援金額を示すことは法令上の義務ではないとしたうえで、内訳を記載する取組への協力を企業に呼びかけています。明細に支援金の欄がない場合は、健康保険料の中に含まれている可能性があります。勤務先の給与担当に確認しましょう。

2. 標準報酬月額

会社員の支援金は、実際の給与額ではなく「標準報酬月額」をもとに計算します。標準報酬月額の決まり方は「社会保険料の計算方法」で解説しています。

3. ボーナスの有無

こども家庭庁は、賞与からも支援金を拠出するとしています。健康保険や厚生年金と同じ扱いです。

4. 国保の場合は子どもの人数と所得

国民健康保険では、こどもがいる世帯の拠出が増えないよう、18歳に達する日以後の最初の3月31日までのこども(高校生年代まで)の均等割額は全額軽減されます。また、医療分と同じように低所得の世帯には軽減があります。

実際にいくらになるか(計算してみる)

会社員の計算式

協会けんぽ・こども家庭庁の資料にもとづく計算式は次のとおりです。

  • 毎月の給与:標準報酬月額×0.23%÷2(本人負担分)
  • 賞与:標準賞与額×0.23%÷2(本人負担分)
標準報酬月額支援金の総額(月)本人負担(月)本人負担(年)
20万円460円230円2,760円
30万円690円345円4,140円
40万円920円460円5,520円
50万円1,150円575円6,900円

たとえば標準賞与額50万円のボーナスなら、50万円×0.23%=1,150円で、本人負担は575円です。

こども家庭庁の年収別試算(被用者保険・令和8年度)

こども家庭庁は、年収(毎月の給料とボーナスの合計)に0.23%を掛けて12で割り、その半分を本人負担とする方法で次の目安を示しています。

年収本人負担(月額)
200万円192円
400万円384円
600万円575円
800万円767円
1,000万円959円

検算すると、年収400万円の場合は400万円×0.23%=9,200円、12で割って約767円、その半分で約384円となり、公表値と一致します。

国民健康保険の例(札幌市・令和8年度)

国保は自治体ごとに料率が違います。札幌市の令和8年度の「子ども支援分保険料」は、所得割0.29%、均等割1,100円×18歳以上の加入者数、平等割1,000円(1世帯あたり)、年間の上限3万円とされています。

40歳の単身で、令和7年中の給与収入が300万円の方で試算します。

  1. 給与所得:300万円−給与所得控除98万円=202万円
  2. 所得割:(202万円−基礎控除43万円)×0.29%=4,611円
  3. 均等割1,100円+平等割1,000円=2,100円
  4. 合計:年6,711円(月あたり約559円)

この所得では軽減の対象にならない想定です。実際の金額は、世帯の人数や所得、軽減の有無によって変わります。国保の保険料全体の決まり方は「国民健康保険料はどう決まる?」も参考にしてください。

令和9年度以降の見込み

こども家庭庁の試算では、医療保険の加入者1人あたりの平均月額(全制度平均)は、令和8年度250円、令和9年度350円、令和10年度450円と見込まれています。被用者保険の令和10年度の参考値として、年収400万円で月650円、年収600万円で月1,000円という機械的な計算も示されています。ただしこれは令和4年度の総報酬をもとにした参考値で、賃上げが進めば金額は下がっていくことが想定されるとされています。

手続き・流れ

支援金について、加入者が自分で申請する手続きは基本的にありません。

  1. 会社員:勤務先が給与・賞与から天引きし、健康保険料とあわせて納付します
  2. 国保・後期高齢者医療:6〜7月ごろに届く納入通知書で、支援金分を含む保険料額と徴収開始時期が通知されます
  3. 産休・育休中:勤務先経由で保険料免除の手続きをすると、支援金も免除されます

金額を確認したいときは、会社員は給与明細と勤務先の給与担当、国保・後期高齢者医療は納入通知書とお住まいの市区町村(後期高齢者医療は広域連合)が確認先です。こども家庭庁は「子ども・子育て支援金制度コールセンター」(0120-303-272、平日9時から18時)を設けています。

注意点

  • 本記事の金額は、こども家庭庁・協会けんぽ・札幌市の公表資料にもとづく令和8年度の試算です。実際の金額は加入している保険者や自治体の決定によって異なります
  • 支援金総額は令和10年度に向けて段階的に増える仕組みのため、令和9年度以降の支援金率は変わる可能性があります
  • 政府は、社会保障の歳出改革などによる社会保険負担の軽減の範囲内で導入するため、支援金による実質的な負担は生じないと説明しています。一方で、支援金そのものは医療保険料とあわせて拠出する仕組みです
  • こども家庭庁は、徴収した支援金の使い道は法律ですべて子育て支援関係に限定されていると説明しています

よくある質問

Q1. 支援金は「独身税」ですか? こども家庭庁のQ&Aにも同じ趣旨の質問が設けられています。支援金は独身・既婚やこどもの有無にかかわらず医療保険の加入者全体で拠出する仕組みで、会社員の場合は標準報酬月額と支援金率で金額が決まります。子育て世帯も拠出し、国保ではこどもの均等割が全額軽減されるという違いがあります。

Q2. 支援金は何に使われるのですか? こども家庭庁の資料では、児童手当の拡充(所得制限の撤廃・高校生年代までの延長・第3子以降月3万円)、妊婦のための支援給付(合計10万円)、両親が育休を取ったときの出生後休業支援給付(手取り10割相当)、育児時短就業給付、こども誰でも通園制度、国民年金の育児期間中の保険料免除(令和8年10月から)などが挙げられています。児童手当については「児童手当のしくみ」で解説しています。

Q3. 扶養に入っている家族の分も払う必要がありますか? 会社員の健康保険では、本人の標準報酬月額・標準賞与額をもとに計算するため、扶養家族の人数で金額は変わりません。国保は世帯の加入者ごとに計算するため、18歳以上の加入者が多いほど均等割の分が増えます。

Q4. アルバイトでも支援金はかかりますか? 勤務先の健康保険に加入していれば、正社員と同じく給与から天引きされます。親や配偶者の扶養に入っている場合は、本人の拠出はありません。

Q5. 国民年金の育児期間の保険料免除とは何ですか? 日本年金機構によると、令和8年10月から、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者(自営業やフリーランスなど)の保険料が、届出により所得に関係なく免除される制度が始まりました。免除期間は保険料を納めたものとして年金額に反映されます。

まとめ

子ども・子育て支援金は、令和8年4月分から医療保険料とあわせて拠出が始まった仕組みです。会社員は標準報酬月額×0.23%を会社と折半し、年収400万円なら月384円程度が目安です。国保は自治体ごと、75歳以上は広域連合ごとに金額が決まります。

まずは5月以降の給与明細や国保・後期高齢者医療の納入通知書で、支援金の金額を一度確認してみましょう。最新情報はこども家庭庁 子ども・子育て支援金制度についてで必ずご確認ください。

参考資料

最終確認日

最終確認日: 2026-10-03


本サイトは公的機関ではありません。掲載内容は情報提供を目的としており、支援金の金額は加入している医療保険・自治体・所得によって異なります。具体的な金額は、勤務先の給与担当、加入している健康保険、お住まいの市区町村にご確認ください。