確定申告は「必要な人」と「したほうがお得な人」があります。会社員なら年末調整で完結する場合が多いですが、副業や医療費・ふるさと納税があれば話は別です。判断順序で整理します。

まず結論

「必要(義務)」と「したほうが得(任意)」の2つを分けて考えるのが鉄則です。義務に該当しないかをまずチェックし、次に「控除を取り戻したい」目的の任意申告を検討します。会社員は年末調整で多くがカバーされますが、医療費控除・寄付金控除・住宅ローン控除1年目などは確定申告が必須です。

あなたが最初に確認すること

  • Q1: 会社員か、自営業・フリーランスか?
  • Q2: 年末調整で漏れた控除があるか?(医療費・寄付・住宅ローン1年目等)
  • Q3: 副業収入があるか?20万円超か?

30秒でわかる判定フロー

迷ったら、次の順に「はい」がないかを上から確認してください。1つでも「はい」があれば確定申告が関係します。

  1. 給与収入が2,000万円を超える → 申告が必要
  2. 給与以外の所得(副業・株の利益など)が年20万円を超える → 申告が必要
  3. 2か所以上から給与をもらっていて、年末調整されない給与がある → 申告が必要(条件あり)
  4. 自営業・フリーランスで一定の所得がある → 申告が必要
  5. 上のどれにも当てはまらない。でも医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ未利用)・住宅ローン控除1年目などがある → 申告は任意だが、すると税金が戻る可能性
  6. どれにも当てはまらない → 多くの会社員は年末調整で完結し、申告不要なことが多い

補足:2025年(令和7年度)税制改正との関係 2025年改正で基礎控除・給与所得控除が引き上げられ、所得税がかかり始めるラインは上がりました。ただし「確定申告が必要かどうか」を判定する副業所得20万円・給与2,000万円といった基準そのものは変わっていません。改正で控除額が変わったぶん、年末調整や確定申告で計算される税額に影響する点に注意してください。

3つの分岐

分岐A: 会社員で確定申告が「義務」のケース

以下のいずれかに該当する会社員は確定申告が必要です。

  • 給与年収2,000万円超
  • 給与以外の所得(副業・株式譲渡等)が年20万円超
  • 2か所以上から給与を受け、年末調整されなかった方の給与+副業所得が20万円超
  • 同族会社の役員等で家賃・利息等を受け取っている
  • 災害減免法の適用を受けて源泉徴収猶予を受けた
  • 退職所得の受給に関する申告書を出さず源泉徴収されていない

分岐B: 会社員で確定申告が「任意」だがしたほうが得なケース

控除を申告すれば税金が戻ります。

  • 医療費控除: 年10万円(または所得5%)を超える医療費があった
  • 寄付金控除: ふるさと納税6自治体超、ワンストップ未利用、政治献金・特定寄付
  • 住宅ローン控除1年目: 2年目以降は年末調整で可能
  • 災害減免・雑損控除: 災害・盗難で資産損失
  • 退職して年末調整を受けていない: 払いすぎた所得税が戻る
  • 特定支出控除: 通勤費等が給与所得控除の半分超

分岐C: 自営業・フリーランス・副業20万超の場合

確定申告が義務、青色申告のメリットを活かすかを検討。

  • 事業所得・不動産所得・雑所得(副業)が年20万円超
  • 青色申告承認申請書を提出で65万円控除・赤字繰越3年
  • 経費の集計・帳簿付け(青色は複式簿記)
  • インボイス登録の要否を判断(売上1,000万円未満でも検討)
  • 国民健康保険料・国民年金・小規模企業共済の控除も忘れずに

「副業20万円」を具体例で確認する

「副業所得20万円超」のラインは、**収入(売上)ではなく所得(収入−経費)**で判定する点が間違えやすいポイントです。例で確認します。実際の判定は内容により異なるため、迷ったら税務署にご確認ください。

  • 例1:副業の売上が年30万円、必要経費が12万円 → 所得は30万−12万=18万円。20万円以下なので、所得税の確定申告義務はない場合があります(ただし住民税の申告は別途必要)。
  • 例2:副業の売上が年30万円、経費がほぼなし → 所得は30万円。20万円超なので確定申告が必要です。
  • 例3:本業の給与が2,000万円以下で、副業所得が20万円以下でも、医療費控除など別の理由で確定申告をする場合は、その20万円以下の副業所得も含めて申告する必要があります(「20万円以下だから書かなくてよい」は申告しない場合の特例です)。

例3は特に見落とされがちです。「副業は20万円以下だから関係ない」と思っていても、医療費控除やふるさと納税で確定申告をするなら、その副業所得も申告対象になります。

必要書類

  • 源泉徴収票(会社員・年金受給者)
  • 副業の収支がわかる帳簿・領収書
  • 医療費の領収書・医療費控除の明細書(マイナポータル連携可)
  • 寄付金受領証明書(ふるさと納税はワンストップ未利用分)
  • 生命保険・地震保険控除証明書(年末調整で出していない分)
  • 住宅ローン年末残高証明書(住宅ローン控除)
  • マイナンバーカード・本人確認書類

期限・タイミング

  • 確定申告期間: 翌年2月16日〜3月15日
  • 還付申告(任意申告): 1月から提出可、5年前まで遡及可
  • 青色申告承認申請: 適用したい年の3月15日まで(新規開業は2か月以内)
  • e-Tax利用: 24時間提出可
  • 納税の振替納税: 4月中旬の引き落とし

問い合わせ先

  • 確定申告の相談: 所轄税務署・確定申告会場
  • 書類記入のサポート: 税理士・税理士会の無料相談
  • e-Tax操作: 国税庁の電話相談・チャットボット
  • 副業の経費判断: 税理士

よくある失敗

  • 副業20万円ルールの誤解: 住民税は20万以下でも申告必要(税務署に申告すれば自動連携)
  • 医療費控除の領収書を捨てる: 5年間保管が必要
  • ワンストップ申請とふるさと納税控除の重複: 確定申告するとワンストップは無効
  • 副業の収入を雑所得ではなく給与で受ける: 経費が引けず損する
  • 青色申告承認申請を出し忘れる: その年は白色のまま、65万控除が受けられない
  • 退職した年に申告を忘れる: 年末調整を受けていないため還付が受けられない

申告前のチェックリスト

  • 自分が「義務(必要)」に当てはまるかをフローで確認する
  • 当てはまらなくても、戻る可能性のある控除(医療費・寄付・住宅ローン1年目など)がないか確認する
  • 源泉徴収票・副業の帳簿・各種控除証明書をそろえる
  • 副業所得は「収入−経費」で20万円を超えるか計算する
  • ふるさと納税でワンストップ特例を使った人が確定申告する場合、寄付分も申告に含める
  • 還付目的なら1月から提出できる(5年前まで遡れる)
  • e-Taxを使うか、確定申告会場・郵送かを決める
  • 申告後、領収書・帳簿は法定期間(医療費の領収書は5年など)保管する

公式情報の確認ポイント

よくある質問(FAQ)

Q1. 副業が20万円以下なら、本当に何もしなくていいのですか? A. 所得税の確定申告は不要な場合がありますが、住民税の申告は20万円以下でも必要とされています。確定申告をすれば住民税にも自動で反映されますが、確定申告をしない場合はお住まいの市区町村への住民税申告が必要になる点に注意してください。

Q2. 会社にバレずに副業の申告はできますか? A. 確定申告書で住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選べる欄があり、これを選ぶと副業分の住民税が会社の給与天引きと分けられる場合があります。ただし自治体の運用により異なるため、確実性を求める場合は自治体に確認してください(税務上の話で、勤務先の就業規則とは別問題です)。

Q3. パートを掛け持ちしています。確定申告は必要ですか? A. 2か所以上から給与を受け、年末調整されなかった給与と副業などの所得の合計が20万円を超える場合などは確定申告が必要とされています。メインの勤務先で年末調整される一方、サブの給与は年末調整されないことが多いため、源泉徴収票で確認しましょう。

Q4. 還付申告はいつまでさかのぼれますか? A. 払いすぎた税金を取り戻す還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間提出できます。過去に医療費控除やふるさと納税を申告し忘れていた年がある場合、さかのぼって申告できる可能性があります。

Q5. 確定申告と年末調整の両方が必要なことはありますか? A. あります。会社員は年末調整で基本的な控除が済みますが、医療費控除・寄付金控除・住宅ローン控除1年目などは年末調整では扱えないため、別途確定申告が必要です。年末調整をしたうえで確定申告を追加するイメージです。

Q6. 株やNISAの利益も申告が必要ですか? A. NISA口座内の利益は非課税のため申告は不要です。課税口座でも「特定口座(源泉徴収あり)」を使っていれば原則申告不要です。一方「一般口座」や「源泉徴収なし」の口座で利益が出た場合などは申告が必要になることがあります。損益通算や繰越控除をしたい場合は、申告したほうが有利なケースもあります。

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まとめ

確定申告は「義務」と「したほうが得」を分けて判断するのが基本。会社員でも医療費・寄付・住宅ローン1年目は確定申告で控除を取り戻せます。副業20万超・自営業は義務、青色申告の準備も視野に入れましょう。


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最終確認日

最終確認日: 2026-06-25

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