「ふるさと納税はやってみたいけど、確定申告が面倒そう」と感じている方は多いと思います。会社員などで一定の条件を満たす場合は、確定申告をせずに寄附金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が使えます。
この記事では、ワンストップ特例制度の利用条件、申請の流れ、期限、確定申告との違いを、総務省の公式情報をもとにやさしく整理します。
この記事でわかること
- ワンストップ特例制度の基本的なしくみ
- 利用できる人の条件
- 申請の流れと必要書類
- 申請期限と提出方法
- 確定申告との違い・注意点
- よくある質問(FAQ)
まず結論
ワンストップ特例制度は、確定申告が不要な給与所得者などが、ふるさと納税の寄附金控除を確定申告なしで受けられる制度です。寄附した自治体に申請書を提出することで、住所地の市区町村が住民税から控除を行います。
要点は次のとおりです。
- 確定申告不要の給与所得者などが対象
- 1年間の寄附先自治体が5つ以内であること
- 寄附ごとに申請書を寄附先自治体へ提出する必要がある
- 申請期限は寄附した翌年の1月10日必着
- 控除はすべて住民税から行われる(所得税からの還付はない)
- 医療費控除など他の確定申告が必要な場合は使えない
ワンストップ特例制度と確定申告は、最終的な控除総額は概ね同じ設計ですが、控除の方法とタイミングが異なります。
申請条件
ワンストップ特例制度を利用できるのは、以下の条件をすべて満たす方です。
利用できる人
- もともと確定申告をする必要のない給与所得者など
- 1年間のふるさと納税の寄附先自治体が5つ以内
- 寄附ごとに寄附先自治体へ申請書を提出
利用できないケース
- 個人事業主・フリーランスで確定申告をする必要がある
- 給与収入が2,000万円を超える
- 給与所得以外の所得が20万円を超える
- 医療費控除・住宅ローン控除(初年度)など、他の理由で確定申告をする必要がある
- 1年間に6自治体以上に寄附した
同じ自治体に複数回寄附しても1自治体としてカウントしますが、申請書は寄附ごとに必要です。
⚠ 後から医療費控除のために確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。その場合、確定申告書に寄附金控除も合わせて記載する必要があります。
申請の流れと必要書類
ワンストップ特例制度の申請手順は、おおまかに以下のとおりです。
手順1:寄附する
ふるさと納税ポータルサイトや自治体サイトから寄附を行います。寄附時に「ワンストップ特例制度を利用する」を選択するのが一般的です。
手順2:申請書を入手
寄附先の自治体から「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が郵送される、または自治体のサイトからダウンロードします。マイナンバーカードを使った電子申請(自治体ポータル)に対応している場合もあります。
手順3:必要書類を準備
- 申請書(記入・押印または電子サイン)
- マイナンバー確認資料(マイナンバーカードのコピーまたは通知カード+身分証)
- 本人確認書類(マイナンバーカードがあれば不要)
手順4:寄附先自治体に提出
各寄附先自治体に対して、寄附ごとに申請書を郵送(または電子申請)します。複数の自治体に寄附した場合は、自治体ごとに別々に提出する必要があります。
手順5:翌年度の住民税で控除
寄附した翌年6月以降の住民税から、控除額が反映されます。給与所得者の場合は、勤務先から渡される住民税の通知(特別徴収税額決定通知書)で控除額を確認できます。
申請期限
申請書の提出期限は、寄附した翌年の1月10日必着です。提出方法は次の通りです。
郵送の場合
- 1月10日に寄附先自治体へ「必着」(消印有効ではない)
- 年末ぎりぎりに寄附した場合は、申請が間に合わないことがあります
電子申請の場合
- マイナンバーカードを使ったオンライン申請が利用できる自治体が増えています
- 期限の運用は自治体ごとに確認してください
期限を過ぎてしまった場合は、確定申告で寄附金控除を申請することになります。
確定申告との違い
ワンストップ特例制度と確定申告は、控除の経路が異なります。
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 対象者 | 確定申告不要の給与所得者など | すべての納税者 |
| 寄附先数 | 5自治体以内 | 制限なし |
| 申請方法 | 寄附ごとに寄附先自治体へ申請書 | 翌年2月16日〜3月15日に税務署へ |
| 控除の経路 | すべて住民税から控除 | 所得税の還付+住民税の控除 |
| 控除総額 | 同等 | 同等 |
| 他の控除との併用 | 不可(医療費控除等あれば確定申告へ) | すべての控除を1枚で申告 |
最終的な税負担はほぼ同等ですが、確定申告では一部が所得税から還付される一方、ワンストップ特例ではすべて翌年度の住民税の減額として処理されます。
実際にいくらになるか(計算してみる)
「ワンストップ特例だと所得税の還付がないから損なのでは」という誤解はとても多いのですが、実際の数字を並べると印象が変わります。
総務省の公式資料には、年収700万円・夫婦子なし(所得税の限界税率20%)の方が30,000円のふるさと納税をした場合の内訳が示されています。①所得税から(30,000円−2,000円)×20%=5,600円、②住民税の基本分から(30,000円−2,000円)×10%=2,800円、③住民税の特例分から(30,000円−2,000円)×(100%−10%−20%)=19,600円。合計28,000円です。ワンストップ特例を使うと、このうち①に相当する分も含めた28,000円すべてが翌年度の住民税から控除されると説明されています。
同じ条件(所得税率20%・控除上限内)で寄附額を変えたときの概算が次の表です。
| 寄附額 | 【確定申告】所得税の還付 | 【確定申告】翌年度の住民税の減額 | 【ワンストップ】翌年度の住民税の減額 | 控除の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 10,000円 | 約1,600円 | 約6,400円 | 8,000円 | 8,000円 |
| 30,000円 | 約5,600円 | 約22,400円 | 28,000円 | 28,000円 |
| 50,000円 | 約9,600円 | 約38,400円 | 48,000円 | 48,000円 |
| 80,000円 | 約15,600円 | 約62,400円 | 78,000円 | 78,000円 |
たとえば30,000円を寄附した方であれば、確定申告なら「所得税から約5,600円が還付+住民税が約22,400円減る」、ワンストップ特例なら「住民税が28,000円減る」。右端のとおり合計はどちらも28,000円で、自己負担2,000円という結果も変わりません。総務省も、ワンストップ特例について「確定申告を行った場合と基本的に同額が控除される」と説明しています。違うのは金額ではなく、お金が戻る経路とタイミングだけです。
ここで押さえておきたいのが、ワンストップ特例では振込という形で現金が戻ることはないという点です。控除はすべて翌年6月以降の住民税が安くなる形で反映されるため、「申請したのに何も入金されない」と不安になる方がいます。控除されたかどうかは、翌年6月頃に勤務先から配られる住民税の決定通知書(特別徴収税額決定通知書)の**「寄附金税額控除」欄**で確認できます。おおむね「寄附額−2,000円」に近い金額が入っていれば、正しく反映されていると考えられます。
なお、上の表はいずれも控除上限額の範囲内で寄附した場合の目安です。上限は年収・家族構成・他の控除で変わり、上限を超えた分は自己負担が2,000円では収まりません。実際の控除額は、お住まいの市区町村・税務署にご確認ください。
注意点
- 寄附先が5自治体を超えると、ワンストップ特例は使えず確定申告が必須
- 申請書は寄附ごとに必要(同じ自治体への複数寄附でも、寄附ごとに申請)
- 申請後に住所変更があった場合は、「変更届出書」を寄附先自治体に提出
- 確定申告を行うと、それまでに提出したワンストップ特例の申請は無効になる
- ワンストップ特例の利用可否は寄附時点では判断できないこともあるため、年末に確定申告の必要が出てきた場合は注意
よくある質問(FAQ)
Q1. 6自治体に寄附してしまいました。どうなりますか?
寄附先が6自治体以上になった時点で、ワンストップ特例は利用できません。確定申告で寄附金控除を申請してください。すでに提出したワンストップ特例の申請書は無効になります。
Q2. ワンストップ特例で所得税からの還付はないのですか?
ワンストップ特例制度は、本来所得税から控除される分も含めて、すべて翌年度の住民税から控除します。控除総額は確定申告とほぼ同じですが、所得税からの還付金が振り込まれることはありません。
Q3. 医療費控除のために確定申告をします。ワンストップ特例はどうなりますか?
確定申告を行うと、ワンストップ特例の申請は無効になります。確定申告書に医療費控除と寄附金控除の両方を記載して申告してください。
Q4. 申請書を出し忘れて1月10日を過ぎてしまいました。
期限を過ぎた場合は確定申告で寄附金控除を申請してください。確定申告であれば、翌年1月1日から5年以内であれば還付申告として申告可能です。
Q5. ふるさと納税で控除される上限額はどう決まりますか?
控除上限額は、収入や家族構成、他の所得控除によって変わります。総務省のふるさと納税ポータルサイトや各ふるさと納税サイトの控除シミュレーターを参考にしてください。
まとめ
ワンストップ特例制度のポイントを振り返ります。
- 対象は確定申告不要の給与所得者などで、寄附先5自治体以内
- 寄附ごとに申請書を寄附先自治体へ提出
- 申請期限は寄附の翌年1月10日必着
- 控除はすべて翌年度の住民税から
- 確定申告を行うと申請は無効になる
- 控除総額は確定申告と概ね同等
次のアクションとして、寄附先の自治体数を確認し、申請書の提出忘れがないかチェックしましょう。最新情報は総務省 ふるさと納税ポータルサイト 控除の仕組みで必ずご確認ください。
※本サイトは公的機関ではありません。制度の内容は年度や法改正により変わることがあります。個別の判断が必要な場合は、税務署・税理士などの専門家にご相談ください。
最終確認日
最終確認日: 2026-06-08
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