育児休業給付金は雇用保険から支給され、最初の180日は給与の67%、それ以降は50%。2025年4月からは「出生後休業支援給付金」が加わり、夫婦両方が取得すれば実質80%まで上がります。判断順序で整理します。

まず結論

会社員(雇用保険加入)で、育休前2年間に雇用保険加入12か月以上あれば対象。最初の180日は67%、181日目以降は50%。さらに子の出生後8週以内に夫婦両方が14日以上の育休を取れば、出生後休業支援給付金で**実質80%**まで上がります(2025年4月開始)。1歳までが基本、保育園不承認なら最長2歳まで延長可。

あなたが最初に確認すること

  • Q1: 雇用保険に育休前2年間で12か月以上加入しているか?
  • Q2: 配偶者も育休を取る予定か?(2025年新制度の80%適用条件)
  • Q3: 保育園に入れない場合の延長申請を意識しているか?

3つの分岐

分岐A: 基本パターン(1人で育休)

最も多いパターン。67%→50%で1年取得。

  • 育休開始から180日: 休業開始時賃金日額の67%
  • 181日目以降: 50%
  • 月額上限: 67%期は約31万円、50%期は約23万円(年度更新あり)
  • 社会保険料免除・所得税非課税で手取りは賃金の約8割相当
  • 1歳の誕生日前日まで(または1歳2か月まで:パパママ育休プラス)
  • 雇用保険加入12か月の判定: 月11日以上働いた月で数える

分岐B: 夫婦両方が育休(2025年新制度 80%パターン)

子の出生後8週以内に夫婦両方が14日以上の育休を取得した場合。

  • 通常の育休給付金 67% + 出生後休業支援給付金 13% = 実質80%
  • 最大28日間
  • 社会保険料免除も適用
  • 父親は産後パパ育休(出生時育児休業)と組み合わせる
  • 母親も対象
  • ひとり親は単独でも適用

分岐C: 1歳超え延長パターン(保育園不承認等)

保育園に入れない、配偶者が病気等の事情で延長申請。

  • 1歳6か月まで延長: 入所保留通知書を添付
  • 2歳まで再延長: 1歳6か月時点でも保育園不承認の場合
  • 給付率は50%継続
  • 申請は育休満了前(原則2週間前)
  • 不承認通知書は保育園の入所申し込みで自治体から発行

いくらもらえる?計算式とケース別試算

育児休業給付金は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率」で計算します(厚生労働省)。

  • 休業開始時賃金日額:育休開始前6か月の賃金(賞与除く)の合計 ÷ 180
  • 支給率:最初の180日は67%、181日目以降は50%
  • 1か月分は通常「賃金日額 × 30日 × 給付率」で計算

支給上限・下限(2025年8月1日改定時点)

賃金が高い人には月額の上限があります。

支給率1か月あたりの支給上限額
67%(開始〜180日)約323,811円
50%(181日目以降)約241,650円

休業開始時賃金日額の上限は16,110円(2025年8月1日時点)で、毎年8月1日に見直されます。

ケース別の試算例(目安)

以下は計算の流れを示す概算です。実際の額は賃金構成・端数処理・上限で変わるため、正確な額はハローワーク・勤務先にご確認ください。

ケース1:月給25万円(賞与除く)で1年間育休

  • 賃金日額の目安:25万円 × 6か月 ÷ 180日 = 約8,333円
  • 当初6か月(67%):8,333円 × 30日 × 67% = 約167,500円/月
  • 7か月目以降(50%):8,333円 × 30日 × 50% = 約125,000円/月
  • さらに育休中は社会保険料が免除され、給付金は非課税のため、手取りベースでは賃金の約8割相当になることが多いとされています

ケース2:月給40万円(上限に当たる例)

  • 賃金日額の目安:40万円 × 6か月 ÷ 180日 = 約13,333円
  • 67%期:13,333円 × 30日 × 67% = 約268,000円 → 上限323,811円以内なので満額
  • 50%期:13,333円 × 30日 × 50% = 約200,000円/月
  • 賃金日額が16,110円を超える高所得者は上限で頭打ちになります

ケース3:夫婦で出生後8週以内に14日以上ずつ育休(2025年新制度)

  • 通常の育休給付金67% + 出生後休業支援給付金13% = 合計80%(最大28日分)
  • 月給30万円なら賃金日額の目安は約1万円
  • 80%適用期間:10,000円 × 28日 × 80% = 約224,000円(28日分の目安)
  • 社会保険料免除・非課税を合わせると、この期間は手取り10割相当とされています

実際にいくらになるか(計算してみる)

「67%」と聞くと、ふだんの収入の3分の2はもらえるように感じます。ところがこの67%がかかる相手は「月々の賃金」だけで、賞与は入りません。ここを踏まえずに家計を組むと、思ったより苦しくなることがあります。実際の数字で確かめます。

ハローワークは、育児休業給付金を「(賃金日額)×(支給日数)×50%(休業日数が通算して180日に達するまでの間に限り67%)」で算定すると説明しています。賃金日額は休業開始前6か月の賃金(賞与などは除く)を180で割った額、支給日数は1支給単位期間につき30日とされています。つまり「賃金日額×30日」はおおむね毎月の月給に相当するため、**67%期の月額は月給の約67%、50%期は約50%**が目安になります。

以下は、育休を1年間(67%期6か月+50%期6か月)取得したと仮定した概算です。

育休前の月給(賞与除く)賃金日額の目安67%期(〜180日)の1か月50%期(181日〜)の1か月1年間の合計の目安
20万円約6,666円約134,000円約100,000円約140万円
25万円約8,333円約167,000円約125,000円約175万円
30万円10,000円約201,000円約150,000円約211万円
40万円約13,333円約268,000円約200,000円約281万円
50万円上限16,110円が適用323,811円(上限)241,650円(上限)約339万円

たとえば月給30万円の方であれば、最初の6か月は月およそ20万円、その後は月およそ15万円、1年間の合計は約211万円が目安になります。

ここで冒頭の話に戻ります。仮にこの方の賞与が年間90万円だとすると、年収は450万円。1年間の給付総額は約211万円ですから、年収に対しては5割弱という水準です。育休中は賞与が出ない(または大きく減る)会社が多く、そもそも賞与は給付金の計算にも入りません。「67%だから3分の2は確保できる」と考えていると、賞与のぶんだけ見込みがずれることになります。

一方で、給付額そのものより手取りが有利に働く要素もあります。育児休業給付金は非課税で所得税・住民税がかからず、育休中は申出により健康保険・厚生年金の保険料が免除されるとされています。給与から天引きされていたこれらの負担がなくなるため、額面67%でも手取りベースでは休業前の8割前後になることが多い、と説明されます。

ただし、ここにひとつ落とし穴があります。住民税は「前年の所得」に対して後払いする仕組みのため、育休中も納付が必要です。給与の天引き(特別徴収)ができなくなると、勤務先での一括徴収や、自宅に届く納付書での支払い(普通徴収)に切り替わることがあります。育休1年目は「収入は減ったのに、住民税は働いていた年の分を払う」という状態になりやすい、ということです。逆に、育休で所得が減った年の翌年度は住民税が大きく下がるため、復職後しばらくは負担が軽くなる、という関係になります。切替の方法は勤務先やお住まいの自治体で扱いが異なるため、育休に入る前に確認しておくと安心です。

⚠ 賃金日額の上限(16,110円)と支給上限額(67%=323,811円、50%=241,650円)は、毎年8月1日に見直されるとされています。上の数値は2025年8月1日改定分(2026年7月31日までの適用額)です。2026年8月1日以降の額は、厚生労働省・ハローワークの最新情報でご確認ください。

上の表は計算の流れを示す目安です。実際の額は賃金の構成・端数処理・休業中の就労の有無などで変わります。正確な金額は勤務先・ハローワークにご確認ください。

申請・受給の実用チェックリスト

  • 育休前2年間に雇用保険加入12か月以上(月11日以上または80時間以上働いた月で判定)を確認
  • 産後休業(出産後8週)終了の翌日から育休開始
  • 勤務先に育児休業の申出(原則1か月前まで)
  • 育休開始時に受給資格確認を勤務先経由でハローワークへ
  • 2か月ごとに勤務先経由で支給申請(申請忘れに注意)
  • 夫婦で80%を狙うなら、出生後8週以内に夫婦それぞれ14日以上の育休を重ねる
  • 1歳以降も延長したい場合は、保育所の入所申込みをして不承認通知を取得
  • 延長申請は育休満了の原則2週間前まで
  • 復職予定が決まったら勤務先へ連絡

必要書類

  • 育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書
  • 母子健康手帳のコピー(出産日確認)
  • 賃金台帳・出勤簿(会社が用意)
  • 賃金月額証明書(休業開始時)
  • 振込先口座情報
  • 延長時: 保育園不承認通知書・配偶者の状況証明等
  • マイナンバー確認書類

期限・タイミング

  • 育休開始: 産後休業終了の翌日(原則出産後8週)
  • 受給資格確認: 育休開始時に会社経由でハローワークへ
  • 支給申請: 2か月ごと(会社経由でハローワーク)
  • 延長申請: 育休満了の原則2週間前
  • 復職届: 復職予定日が決まり次第

問い合わせ先

  • 育児休業給付の申請: 勤務先経由でハローワーク
  • 保育園の不承認通知: 住所地の市区町村(保育所担当)
  • 2025年新制度の詳細: 厚生労働省 雇用保険担当
  • 個別判断: 社会保険労務士

よくある失敗

  • 雇用保険12か月の判定を勘違い: 月11日以上働いた月で計算
  • 支給申請の2か月ごとを忘れて停止: 期限超過で受給権を失う
  • 延長申請の不承認通知を取り損ねる: 申し込み未提出だと延長不可
  • 配偶者の育休を別々の時期に: 出生後8週以内に14日重ねないと80%適用外
  • 復職後すぐ退職: 育児休業給付金の返還ではないが、職場の信頼関係に影響
  • 時短勤務に切り替え: 2025年4月から「育児時短就業給付金」開始、賃金10%相当

よくある質問(FAQ)

Q. 育児休業給付金に税金や社会保険料はかかりますか? A. 給付金は非課税で、所得税・住民税はかかりません。また育休中は申出により健康保険・厚生年金の保険料が免除されます(将来の年金額には影響しません)。このため手取りベースでは賃金の約8割相当になることが多いとされています。

Q. 出生後休業支援給付金の「実質80%」はいつまで続きますか? A. 80%(通常67%+上乗せ13%)になるのは、子の出生後8週以内に夫婦それぞれが14日以上の育休を取った場合の最大28日分です。それ以降は通常の67%(180日まで)→50%に戻ります。

Q. 賞与(ボーナス)は給付金の計算に含まれますか? A. 休業開始時賃金日額の計算には、原則として賞与は含めません。月々の賃金をもとに算出されます。

Q. パパママ育休プラスとは何ですか? A. 夫婦がともに育休を取る場合に、育休の対象期間を子が1歳2か月になるまで延ばせる制度です(各人が取得できる期間の上限は変わりません)。要件を満たせば給付金もその期間受けられます。

Q. 育休中に少し働いてもいいですか? A. 一時的・臨時的な就労は一定の範囲で認められますが、就労日数や賃金額によっては給付金が減額・不支給になります。働く予定がある場合は、事前に勤務先・ハローワークへ確認してください。

Q. 自営業やフリーランスでも育休給付金はもらえますか? A. 育児休業給付金は雇用保険の制度のため、雇用保険に加入していない自営業・フリーランスは対象外です。出産育児一時金など別の制度を確認しましょう。

Q. 時短勤務に切り替えたら何か給付はありますか? A. 2025年4月から「育児時短就業給付金」が始まりました。2歳未満の子を養育するために時短勤務をして賃金が下がった場合、時短中の賃金の最大10%相当が支給される制度です。詳細は勤務先・ハローワークで確認できます。

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まとめ

育休給付金は67%→50%が基本、夫婦両方が14日以上取れば実質80%に。1歳超えの延長には保育園不承認通知が必須です。会社経由の申請ですが、自分でも進捗を把握しておくと安心です。


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最終確認日

最終確認日: 2026-06-25

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