「給料明細を見ると、所得税と住民税の両方が引かれていてよくわからない」「年末調整で還付されるのは所得税だけと聞いたけれど、なぜ?」と疑問に思ったことはありませんか。

どちらも所得にかかる税金ですが、納める先・計算方法・タイミングは大きく異なります。この記事では、両者の違いを初めての方にもわかるように整理しました。

この記事でわかること

  • 所得税と住民税の根本的な違い(国税と地方税)
  • 税率・計算方法・課税タイミングの違い
  • 給料からどう引かれているか
  • 会社員・自営業のケース別の扱い
  • よくある質問(FAQ)

まず結論

所得税と住民税の大きな違いは、次の3点に整理できます。

  • 納め先:所得税は「国」(国税)、住民税は「都道府県・市区町村」(地方税)
  • 税率の決まり方:所得税は所得が増えるほど税率が上がる累進課税、住民税は所得に対しほぼ一律の比例税率(標準10%)
  • 課税のタイミング:所得税はその年の所得に課税(現年課税)、住民税は前年の所得に課税(翌年度課税)

つまり、所得税は「今年の収入に今年支払う」、住民税は「去年の収入に基づいて翌年支払う」というイメージです。

所得税と住民税の比較表

項目所得税住民税
種類国税地方税
納め先都道府県・市区町村
課税のタイミング現年課税(その年の所得に課税)翌年度課税(前年の所得に課税)
税率累進課税(5%〜45%)比例税率(標準10%:市町村民税6%+道府県民税4%)+均等割
申告・徴収申告納税または源泉徴収賦課課税(自治体が計算)+特別徴収または普通徴収
主な控除基礎控除・配偶者控除・扶養控除など(住民税より控除額が大きい場合が多い)基礎控除・配偶者控除・扶養控除など(所得税より控除額が小さい場合が多い)

国税庁の説明では、所得税は累進課税で「所得に応じて段階的に税率が高くなる」しくみ、住民税は「地域社会の会費」的な性格があるとされています。

実際にいくらになるか(計算してみる)

表だけでは違いを実感しにくいので、同じ年収の人が所得税と住民税をそれぞれいくら払うことになるのか、実際に当てはめてみます。

計算のルールは次のとおりとされています。所得税は課税所得に速算表の税率(5〜45%)を掛けて控除額を引く累進課税で、さらに復興特別所得税2.1%が上乗せされ、最後に100円未満が切り捨てられます。住民税は課税所得に**一律10%(所得割)**を掛けて調整控除を差し引き、**均等割(標準で年5,000円・森林環境税を含む)**を足します。所得税と住民税では基礎控除の額も異なり、住民税の基礎控除は多くの自治体で43万円とされています。

以下は「給与収入のみ・独身・扶養なし・社会保険料は年収の約15%」と仮定した、令和7年分(住民税は翌年度分)の概算です。

年収(給与のみ・独身)給与所得控除後の金額所得税の目安(年)住民税の目安(年)合計の目安
300万円202万円約3.5万円約11万円台約15万円
400万円276万円約6.5万円約17万円台約24万円
600万円436万円約18万円台約30万円台約49万円

たとえば年収400万円の方であれば、所得税がおよそ6.5万円、住民税がおよそ17万円台という計算になります。

ここで気づいていただきたいのが、年収400万円あたりでは、所得税より住民税のほうが金額が大きくなるという点です。「税金といえば所得税」というイメージを持たれることが多いのですが、実際の負担は住民税のほうが重いケースが少なくありません。理由は冒頭の違いにあります。所得税は課税所得が195万円以下なら税率5%にとどまるのに対し、住民税は所得の多い少ないにかかわらず**一律10%**が適用されるためです。年収が上がって所得税の税率が10%・20%と上がっていくと、この差は縮まり、やがて逆転します。

「6月から急に手取りが減った」と感じる方が多いのも、この住民税が前年の所得をもとに翌年6月から天引きされ始めるためです。

なお、上の表は違いをつかむための目安です。生命保険料控除・扶養控除などがあれば課税所得が下がり、税額も下がります。住民税の税率・均等割はお住まいの自治体により異なる場合があります。正確な金額は源泉徴収票・住民税決定通知書、または税務署・お住まいの自治体にご確認ください。

対象になる人

所得税の対象

  • 給与所得者(会社員・パート・アルバイト):給料から源泉徴収される
  • 自営業・フリーランス:確定申告で納付
  • 副業収入・原稿料・年金などを受け取る人:一定額以上で対象

住民税の対象

その年の1月1日時点で日本国内に住所がある人で、前年に一定以上の所得があった人が対象になります。

雇用形態にかかわらず課税されるため、退職して無職になっても、前年の所得があれば翌年に請求されることがあります。

確認するポイント

両者の違いを実際の暮らしの中で確認するときに、押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 給与明細:「所得税」と「住民税」の欄が分かれている
  • 源泉徴収票:所得税の年間納付額がまとめられている
  • 住民税決定通知書:自治体から5〜6月ごろ届く(金額の根拠が記載)
  • 控除の違い:基礎控除など、所得税と住民税で金額が異なるものがある
  • 年末調整・確定申告:所得税の精算が中心。住民税は自治体が後から計算

手続き・流れ

所得税

  • 会社員:毎月の給料から源泉徴収 → 年末に勤務先で年末調整 → 多くの場合これで完了
  • 自営業など:翌年2月16日〜3月15日に確定申告 → 期限までに納付

住民税

  • 会社員:勤務先が市区町村へ給与支払報告書を提出 → 自治体が税額計算 → 翌年6月から給与天引き(特別徴収)
  • 自営業など:確定申告の内容をもとに自治体が計算 → 6月ごろ納税通知書が届く → 年4回(または一括)で納付

会社員にとっては「所得税は会社が処理してくれる」「住民税は自治体が計算して通知してくれる」というイメージです。

注意点

  • **退職した翌年に住民税の請求が来ることがあります。**前年の所得に対する課税のためです。
  • 所得税と住民税では、控除の金額や扱いが異なる場合があります(例:基礎控除など)。
  • 上場株式の配当などについては、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶしくみがありましたが、近年改正されています。最新の取扱いは国税庁・自治体の公式情報でご確認ください。
  • 個別の税額計算や還付の可否は、税理士などの専門家にご相談ください(複雑なケースは独自判断を避けることが安心です)。
  • 制度の最新情報は国税庁総務省の公式サイトで必ずご確認ください。

よくある質問

Q1. なぜ給料から所得税と住民税の両方が引かれるのですか? A. 所得税は国に、住民税は都道府県・市区町村に納めるしくみのため、それぞれ別に控除されます。

Q2. 年末調整で住民税は還付されますか? A. 年末調整で精算されるのは原則として所得税です。住民税は自治体が翌年度に計算するため、年末調整では精算されません。

Q3. 退職したら所得税と住民税はどうなりますか? A. 所得税は退職時点までの所得をもとに精算され、必要に応じて確定申告を行います。住民税は前年の所得をベースに翌年も請求されることがあります。

Q4. ふるさと納税はどちらの税金が減りますか? A. ふるさと納税の控除は、所得税の還付と住民税の控除の両方で行われます。自己負担2,000円を除いた額が、両方の税金から差し引かれる形になります(上限あり)。

Q5. パートで働いていますが、所得税と住民税はどちらも払うのですか? A. 所得金額や家族構成によって異なります。所得が一定額以下であれば、所得税・住民税のいずれも非課税となるケースがあります。詳細は勤務先や自治体にご確認ください。

まとめ

  • 所得税は国税(累進課税)、住民税は地方税(比例税率+均等割)
  • 所得税はその年の所得、住民税は前年の所得に対して課税
  • 所得税は年末調整・確定申告で精算、住民税は自治体が計算して通知
  • 退職や転居の年は、両者のタイミングがずれて負担感が変わる場合がある
  • 最新情報は国税庁総務省の公式サイトで必ずご確認ください

「給料から引かれる税金」とまとめがちですが、所得税と住民税は性質がまったく違う税金です。違いを知っておくと、給与明細や住民税通知書を見たときに納得しやすくなります。

関連記事:住民税とは?いつ・いくら払うのかを初心者向けに解説

参考資料

最終確認日

最終確認日: 2026-07-17

制度や税制は改正されることがあります。実際に手続きをする前に、本文中の公式リンクや自治体・関係機関の最新情報をご確認ください。