「住民税ってそもそも何の税金?」「給料から天引きされているけれど、いつ・いくら払っているのかよくわからない」と感じている方は少なくありません。住民税は、お住まいの都道府県・市区町村に納める身近な税金ですが、仕組みを知る機会は意外と少ないものです。

この記事では、初めての方にもわかるように、住民税の基本を整理しました。

この記事でわかること

  • 住民税は誰が・いつ・いくら払う税金なのか
  • 住民税の計算のしくみ(所得割・均等割)
  • 会社員・自営業・退職者など、ケース別の納付方法
  • 住民税で気をつけたい注意点
  • よくある質問(FAQ)

まず結論

住民税は、お住まいの都道府県・市区町村に納める地方税です。 前年(1月〜12月)の所得に応じて課税され、翌年6月から1年かけて納めます。

主なポイントは次のとおりです。

  • 所得割」と「均等割」の2つで構成される
  • 会社員は給料から天引き(特別徴収)、自営業は納付書で支払い(普通徴収)
  • 標準税率は所得割10%(市町村民税6%+道府県民税4%)
  • 均等割は年5,000円が目安(市町村民税3,000円+道府県民税1,000円+森林環境税1,000円)
  • 自治体によって細かい金額や手続きが異なる場合がある

均等割について補足します。かつて「年4,000円」と説明されることがありましたが、東日本大震災の復興財源として上乗せされていた1,000円(平成26年度〜令和5年度)が令和6年度に終了し、入れ替わりで国税の「森林環境税」年1,000円が均等割とあわせて徴収されるようになりました。総務省「森林環境税及び森林環境譲与税」の説明によると、結果として徴収される合計額は5,000円で大きく変わっていません。なお森林環境税は厳密には国税ですが、住民税の均等割と一緒に市区町村が集めるため、納税通知書では同じ欄にまとまって表示されることが一般的です。

住民税の対象になる人

住民税は、原則としてその年の1月1日時点で日本国内に住所がある人に課税されます。会社員・パート・自営業など、雇用形態にかかわらず対象になります。

主なケースを整理すると次のとおりです。

区分住民税の扱い
会社員・公務員前年の給与所得を基に、給料から天引き(特別徴収)
パート・アルバイト一定の所得を超えると課税。勤務先で天引きされる場合もある
自営業・フリーランス確定申告の所得を基に、納付書で自分で納付(普通徴収)
退職者退職時期や次の就職状況により、特別徴収・普通徴収が切り替わる
年金受給者公的年金からの天引き(特別徴収)または普通徴収

なお、所得が一定額以下の方や、生活保護を受けている方などは、住民税が非課税または減免される場合があります。詳細は各自治体の公式サイトでご確認ください。

住民税の計算のしくみ

住民税には2つの種類があります。

所得割

前年の所得に応じて課税される部分です。総務省の示す標準税率では、所得割の合計は10%(市町村民税6%+道府県民税4%)とされています。

計算のおおまかな流れは次のとおりです。

  1. 前年(1月〜12月)の所得を計算する
  2. 所得控除(基礎控除・社会保険料控除など)を差し引く
  3. 残った「課税所得」に10%をかける
  4. 税額控除(調整控除など)を差し引く

均等割

所得の多少にかかわらず、住んでいる人に一定額がかかる部分です。標準では年5,000円(市町村民税3,000円+道府県民税1,000円+森林環境税1,000円)が目安となります。自治体によっては、独自の上乗せ(県民税の超過課税など)がある場合もあります。

「所得割+均等割」の合計が、その年に支払う住民税の額となります。

おおまかな試算例(あくまで目安)

ここでは「いくらくらいになるのか」のイメージをつかむために、給与収入のみ・独身・社会保険料は年収の約15%と仮定したざっくりした試算を示します。実際の税額は自治体の税率・各種控除・調整控除によって変わるため、正確な金額は納税通知書や自治体の試算ツールでご確認ください。

前提(給与収入・独身)課税所得のおおよその求め方所得割の目安均等割住民税の目安(年)
年収300万円給与所得控除後 約202万円 − 社会保険料 約45万円 − 基礎控除等おおむね9〜11万円程度5,000円約10万〜12万円
年収400万円給与所得控除後 約276万円 − 社会保険料 約60万円 − 基礎控除等おおむね14〜17万円程度5,000円約15万〜18万円
年収500万円給与所得控除後 約356万円 − 社会保険料 約75万円 − 基礎控除等おおむね20〜24万円程度5,000円約21万〜25万円

上の数字はあくまで「ざっくりした目安」です。住民税の基礎控除(多くの自治体で43万円)や社会保険料控除のほか、生命保険料控除・扶養控除などがあれば課税所得が下がり、住民税も下がります。逆に、ふるさと納税や住宅ローン控除などの税額控除があると、計算した所得割からさらに差し引かれます。

計算の流れを言葉にすると、

  1. 給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得
  2. 給与所得 − 所得控除(社会保険料控除・基礎控除など)= 課税所得
  3. 課税所得 × 10% − 調整控除 − 税額控除 = 所得割
  4. 所得割 + 均等割(約5,000円)= 住民税

という4ステップです。所得税の基礎控除は2025年(令和7年度)税制改正で引き上げられましたが、住民税の基礎控除は所得税と金額が異なる点に注意してください(住民税は多くの自治体で43万円が基準とされています。最新の取り扱いは自治体の公式情報でご確認ください)。

実際にいくらになるか(計算してみる)

上の表は幅のある目安ですが、住民税は計算式が決まっているため、途中経過まで追いかけると輪郭がはっきりします。**令和8年度分(令和7年1〜12月の所得が対象・2026年6月から納める分)**の住民税を、年収400万円・独身・給与収入のみ・社会保険料は年収の約15%と仮定して計算してみます。

  1. 給与所得を出す:給与所得控除は、収入360万円超660万円以下の場合「収入金額×20%+44万円」とされています。400万円×20%+44万円=124万円。給与所得は400万円−124万円=276万円
  2. 所得控除を引く:社会保険料控除 約60万円(400万円×15%)+住民税の基礎控除 43万円 =103万円。課税所得は276万円−103万円=173万円
  3. 所得割を出す:173万円×10%=173,000円。ここから調整控除(多くの場合2,500円程度)を差し引いて約170,500円
  4. 均等割を足す:170,500円+5,000円=約175,500円

同じ手順で年収別に計算すると次のようになります。

年収(給与のみ・独身)給与所得課税所得の目安所得割の目安均等割住民税の目安(年)
300万円202万円約114万円約11.2万円5,000円約11.7万円
400万円276万円約173万円約17.1万円5,000円約17.6万円
500万円356万円約238万円約23.6万円5,000円約24.1万円
600万円436万円約303万円約30.1万円5,000円約30.6万円

たとえば年収400万円・独身の方であれば、住民税は年およそ17.6万円、給与天引きなら月あたり約1.5万円が目安になります。

ここで最も誤解されやすいのが、住民税の基礎控除は43万円のままで、所得税の基礎控除とは別物という点です。2025年(令和7年)以降、所得税の基礎控除は引き上げが続いていますが、総務省が令和8年度地方税制改正について示した資料でも、個人住民税の基礎控除については引き上げの措置は含まれていません。つまり「所得税が下がったから住民税も同じだけ下がる」わけではありません。一方で、給与所得控除の引き上げは住民税の計算にも及ぶため、その分だけは軽くなります。所得税と住民税で効き方が違う、という点を押さえておくと混乱しません。

もうひとつ知っておくと役立つのが、住民税は税率が一律10%のため、所得税率が低い人ほど控除の効果が住民税側に大きく出るという点です。所得税率5%の方の場合、生命保険料控除・医療費控除・iDeCoなどの効果は、所得税より住民税のほうが大きくなります。ただし住民税は還付ではなく、翌年6月からの天引き額が減る形で反映されるため、効果を実感しにくいという特徴があります。

なお、上の計算で使った「調整控除」は、所得税と住民税の人的控除の差を調整するための税額控除で、多くの場合2,500円程度と小さな金額です。

上の表は目安です。実際には扶養控除・生命保険料控除・住宅ローン控除などの有無で変わり、税率や均等割に独自の上乗せをしている自治体もあります。正確な金額は5〜6月に届く住民税決定通知書、またはお住まいの市区町村の税務課でご確認ください。

住民税が「かからない」境目(非課税ライン)も変わりました

2025年(令和7年度)の税制改正で給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ引き上げられたことに伴い、住民税の課税が始まる収入の目安も変化しています。総務省・各自治体の説明によると、給与収入の場合、おおむね110万円を超えると所得割が課税される扱いに見直されています(均等割は自治体ごとの非課税基準により、もう少し低い収入から課される場合があります)。自分が非課税の範囲かどうかは、お住まいの市区町村の公式案内で確認するのが確実です。

確認するポイント

住民税を考えるうえで、次のポイントを押さえておくと整理しやすくなります。

  • 前年の所得:今年支払う住民税は「去年の所得」がベースです
  • お住まいの自治体:税率や減免制度は自治体ごとに異なる場合があります
  • 勤務先の特別徴収:会社員は原則として給与天引きです
  • 家族構成・扶養:配偶者控除や扶養控除によって税額が変わります
  • その他の控除:医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)なども影響します

手続き・流れ

会社員の場合

  1. 1月までに勤務先が前年の給与支払報告書を市区町村へ提出
  2. 5月〜6月ごろ、勤務先を通じて「住民税決定通知書」が交付される
  3. 6月から翌年5月まで、給料から毎月天引きされる

自営業・フリーランスの場合

  1. 2月〜3月に確定申告
  2. 6月ごろ、自治体から納税通知書・納付書が届く
  3. 一括払いまたは年4回(6月・8月・10月・翌年1月が一般的)に分けて納付

退職した場合

退職時期や次の就職状況により、未納分を一括で給与・退職金から差し引かれるか、普通徴収(納付書払い)に切り替わります。手続きの詳細は勤務先・自治体にご確認ください。

住民税まわりでつまずきやすいポイント

公式の説明だけでは見落としやすい、実務上の勘違いを整理します。

  • 「今年は無収入なのに請求が来た」:住民税は前年所得への課税です。退職・休職などで今年の収入が減っても、前年に収入があれば請求は来ます。これは間違いではなく制度の仕組みです。
  • 退職した年の翌年が一番きつい:在職中は給与天引き(特別徴収)で月割りでしたが、退職後は前年分の残りをまとめて納付書(普通徴収)で払うことになり、無収入の時期にまとまった額が来ることがあります。退職前に「いつ・いくら来るか」を会社や自治体に確認しておくと資金繰りで慌てずに済みます。
  • 新社会人の1年目は住民税が引かれない:住民税は前年所得ベースのため、働き始めた年(前年の所得がない年)は給与から住民税が引かれません。2年目の6月から急に手取りが減る点に注意します。
  • 所得税の基礎控除と住民税の基礎控除は別物:2025年改正で所得税側は大きく上がりましたが、住民税側の金額は異なります。「所得税がかからない=住民税もかからない」とは限りません。
  • 均等割だけかかるケースがある:所得割は非課税でも、均等割(約5,000円)だけは課される所得帯があります。「少額の通知が来た」場合はこのパターンが多いです。
  • ふるさと納税の控除は通知書で確認:ワンストップ特例を使った場合、控除は所得税ではなく住民税からまとめて差し引かれます。きちんと反映されたかは6月以降に届く住民税決定通知書で確認できます。

やることチェックリスト

住民税で迷ったときに確認したい項目を手順化しました。

  • 自分は特別徴収(給与天引き)か普通徴収(納付書)かを把握する
  • 5〜6月に届く「住民税決定通知書」を保管する(収入証明として使える)
  • 退職・転職予定がある場合、住民税の支払い方法が切り替わるか勤務先に確認する
  • 引っ越しても、1月1日時点の住所地に納めると理解しておく
  • ふるさと納税・医療費控除などをした年は、控除が通知書に反映されているか確認する
  • 収入が大きく減った・失業した場合、自治体に減免制度がないか相談する
  • 正確な税額は自治体の公式試算ツールや税務課で確認する

注意点

  • **税率や均等割の金額は自治体によって異なる場合があります。**標準税率と異なる税率や、独自の超過課税を採用している自治体もあります。
  • 住民税は前年所得への課税のため、収入が大きく減った翌年に負担が重く感じられることがあります。
  • 退職した年は、退職金やその後の収入状況によって納付方法・タイミングが変わります。
  • 2025年(令和7年度)税制改正による控除の見直しは所得税が中心で、住民税への反映は所得税と金額・時期が異なる場合があります。最新の取り扱いは自治体の公式情報でご確認ください。
  • 個別の税額計算や減免申請は、お住まいの市区町村役所の税務課にご確認ください。
  • 最新の制度や税率は総務省「個人住民税」および各自治体の公式サイトで必ずご確認ください。

よくある質問

Q1. 住民税はいつから払うのですか? A. 一般的に、前年(1月〜12月)の所得をもとに、翌年6月から翌々年5月までの1年間で納付します。

Q2. 引っ越したら、どこに払うのですか? A. その年の1月1日時点に住んでいた市区町村に納めます。年の途中で引っ越しても、1月1日時点の自治体へ1年分を納めるしくみです。

Q3. 退職して無職になったら住民税はどうなりますか? A. 前年の所得がベースのため、無職でも住民税が請求される場合があります。退職時期によって、特別徴収から普通徴収(納付書払い)に切り替わります。

Q4. 住民税が非課税になる条件はありますか? A. 所得が一定額以下の方や、生活保護受給者、未成年で一定の所得以下の方などは非課税となる場合があります。基準は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村にご確認ください。

Q5. ふるさと納税をすると住民税は安くなりますか? A. ふるさと納税で寄附した金額のうち、自己負担2,000円を除いた分が、所得税の還付や住民税の控除という形で軽減される場合があります。控除上限額は所得や家族構成によって異なります。

Q6. 年収400万円・独身だと住民税はだいたいいくらですか? A. 給与収入のみ・社会保険料を年収の約15%と仮定したざっくりした目安では、年15万〜18万円前後になることが多いとされています。ただし扶養の有無・各種控除・自治体の税率で変わるため、あくまで概算です。正確な額は納税通知書でご確認ください。

Q7. 1月2日に引っ越したら、新しい住所と前の住所のどちらに払いますか? A. その年の住民税は「1月1日時点の住所地」に納めます。1月2日に引っ越した場合、その年分は引っ越し前の自治体へ1年分を納めます。新住所への切り替わりは翌年からです。

Q8. 住民税が払えないときはどうすればよいですか? A. 滞納する前に、まずお住まいの市区町村の税務課に相談するのが基本とされています。分割納付や、収入が大きく減った場合の減免制度が用意されている自治体もあります。放置すると延滞金や差押えにつながる場合があるため、早めの相談が推奨されています。

Q9. 退職したら住民税の天引きはどうなりますか? A. 退職時期によって扱いが変わります。1〜5月に退職する場合は残りの住民税が最後の給与や退職金から一括徴収されるのが原則とされ、6〜12月退職の場合は普通徴収(自分で納付書払い)に切り替わるのが一般的です。詳細は勤務先・自治体にご確認ください。

まとめ

  • 住民税は前年の所得をもとに、翌年6月から1年かけて納める地方税
  • 所得割10%+均等割(年5,000円目安)」が基本構造
  • 会社員は給与天引き、自営業は納付書、退職者は時期によって切り替わる
  • 税率や減免制度は自治体ごとに異なる場合がある
  • 最新情報は総務省「個人住民税」と各自治体の公式サイトで必ずご確認ください

住民税は「去年の自分」が決める税金です。働き方や住まいが変わったときには、自治体の案内を確認する習慣を持っておくと安心です。

参考資料

最終確認日

最終確認日: 2026-07-17

制度や税制は改正されることがあります。実際に手続きをする前に、本文中の公式リンクや自治体・関係機関の最新情報をご確認ください。