失業手当(雇用保険の基本手当)は、退職理由と雇用保険の加入期間でもらえる金額・期間が大きく変わります。「自己都合」か「会社都合」か「特定理由離職者」か、まず分類を確認するのが先決です。
まず結論
失業手当をもらえるかどうかは、「雇用保険の加入期間」と「離職理由」の2点で決まります。会社都合(解雇・倒産など)は退職後すぐ給付開始、自己都合は待期7日のあとに給付制限があります。給付制限は2025年4月の改正で原則1か月に短縮されました(従来は2か月)。「働く意思と能力があり、求職活動をしている」ことが大前提です。離職票が届いたら速やかにハローワークに行くのが鉄則です。
⚠ 2025年4月1日以降に離職した方は、自己都合退職の給付制限が原則1か月になりました。詳細はハローワークでご確認ください。
あなたが最初に確認すること
- Q1: 雇用保険に何か月加入していたか?(離職前2年間で12か月以上が原則)
- Q2: 離職理由は自分都合か、会社都合か?
- Q3: 働く意思と能力があり、すぐに就職できる状態か?
3つの分岐
分岐A: 会社都合(解雇・倒産・契約満了)の場合
特定受給資格者として、給付開始が早く・給付日数も長くなります。
- 雇用保険加入: 離職前1年間で6か月以上で受給資格
- 給付制限: なし(7日間の待期のみ)
- 給付日数: 90〜330日(年齢・加入年数で変動)
- ハローワークで離職理由の異議申し立てができる場合あり
- 国民健康保険料の軽減対象になることがある(自治体に確認)
分岐B: 自己都合退職の場合
最も多いパターン。給付制限期間があるため早めに動くのがポイント。
- 雇用保険加入: 離職前2年間で12か月以上で受給資格
- 給付制限: 待期7日後、原則1か月(2025年4月改正。5年内に3回目以降の自己都合離職は3か月)
- 給付日数: 90〜150日(加入年数で変動)
- 申請が遅れると、給付制限と合わせて生活費の手当が始まるのが遅くなる
- 受給期間は離職日翌日から1年で時効
- 離職日前1年以内や離職中に自分で教育訓練を受講した場合、給付制限が解除される場合がある(2025年4月改正)
分岐C: 特定理由離職者(健康・家族・有期雇用契約満了など)の場合
自己都合だが、やむを得ない事情がある場合の優遇措置です。
- 雇用保険加入: 離職前1年間で6か月以上で受給資格(会社都合と同じ)
- 給付制限: なし
- 該当例: 病気・介護で退職、配偶者の転勤に伴う転居、有期契約が更新されなかった等
- 医師の診断書・診療明細など、理由を裏付ける書類が必要
いくらもらえる?基本手当日額のしくみと試算例
失業手当(基本手当)の1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。計算の流れは次のとおりです(ハローワークの説明による)。
- 賃金日額を出す:離職前6か月の賃金(賞与は除く)の合計 ÷ 180
- 給付率をかける:賃金日額のおおむね50〜80%(賃金が低い人ほど高い率)。60〜64歳は45〜80%
- 年齢区分の上限・下限で調整する
基本手当日額の上限・下限(2025年8月1日改定時点)
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 |
| 30〜44歳 | 8,055円 |
| 45〜59歳 | 8,870円 |
| 60〜64歳 | 7,623円 |
下限額は年齢にかかわらず2,411円です。これらの金額は毎年8月1日に見直されます。
ケース別の試算例(あくまで目安)
以下は計算の流れを示すための概算です。実際の金額は離職理由・年齢・賃金構成・端数処理で変わるため、正確な額はハローワークでご確認ください。
ケース1:35歳・月給28万円(賞与除く・自己都合)
- 賃金日額の目安:28万円 × 6か月 ÷ 180日 = 約9,333円
- この賃金帯の給付率は概ね50%前後:9,333円 × 約50% = 約4,667円/日
- 30〜44歳の上限(8,055円)以下なので調整なし
- 給付日数が90日の場合:4,667円 × 90日 = 約42万円(総額の目安)
ケース2:50歳・月給20万円(会社都合)
- 賃金日額の目安:20万円 × 6か月 ÷ 180日 = 約6,667円
- 賃金が低めなので給付率は高め(概ね60〜70%):6,667円 × 約65% = 約4,333円/日
- 会社都合(特定受給資格者)は給付日数が長く、年齢・加入年数により最大330日まで
- 仮に180日なら:4,333円 × 180日 = 約78万円(総額の目安)
ケース3:28歳・月給45万円(自己都合・上限に当たる例)
- 賃金日額の目安:45万円 × 6か月 ÷ 180日 = 約15,000円
- 給付率50%なら7,500円だが、29歳以下の上限7,255円が適用される
- 給付日数90日なら:7,255円 × 90日 = 約65万円(総額の目安)
- 高所得でも日額には上限があるため、賃金に完全比例はしない点に注意
給付率と上限のポイント
- 賃金が低い人ほど給付率が高くなる(生活保障の趣旨)
- 高所得でも年齢別の上限で頭打ちになる
- 賞与(ボーナス)は賃金日額の計算に含めない
実際にいくらになるか(計算してみる)
「失業手当は給料の8割」「だいたい6割くらい」といった話をよく聞きますが、給付率は人によって50〜80%の間で変わるため、実際に当てはめてみないと金額は見えてきません。
厚生労働省は、賃金日額(w円)から基本手当日額(y円)を出す計算式を公表しています。60歳未満の場合、賃金日額が5,340円以上13,140円以下の部分では「y=0.8w−0.3{(w−5,340)÷7,800}w」という式で、賃金が上がるほど給付率が80%から50%へなだらかに下がっていく仕組みです(いずれも2025年8月1日改定の数値)。
以下は、30〜44歳・離職前6か月の月給が一定(賞与を除く)だったと仮定した概算です。賃金日額は「月給×6か月÷180日」で計算しています。
| 離職前の月給(賞与除く) | 賃金日額 | 実際の給付率 | 基本手当日額 | 認定1回分(28日)の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 18万円 | 6,000円 | 約77% | 4,647円 | 約13.0万円 |
| 24万円 | 8,000円 | 約70% | 5,581円 | 約15.6万円 |
| 27万円 | 9,000円 | 約66% | 5,933円 | 約16.6万円 |
| 36万円 | 12,000円 | 約54% | 6,526円 | 約18.3万円 |
| 50万円 | 16,667円 | 上限適用 | 8,055円 | 約22.6万円 |
たとえば35歳・月給27万円だった方であれば、基本手当日額は5,933円、認定1回分(28日)でおよそ16.6万円が目安になります(厚生労働省も、賃金日額9,000円・60歳未満の方の基本手当日額を5,933円と例示しています)。
この表で目を引くのが、月給18万円の方と50万円の方を比べても、手当は約13.0万円と約22.6万円で2倍にも届かない点です。給付率が逓減するうえ、年齢ごとの上限(30〜44歳なら基本手当日額8,055円)で頭打ちになるためで、「80%」に近い給付率になるのは賃金がかなり低い方に限られます。給料が高かった人ほど、退職後の落差は大きくなると考えておくほうが安全です。
もうひとつ、「給付日数90日=3か月分の給料」ではないという点にも注意が必要です。失業の認定は原則4週間(28日)に1回で、そのつど28日分が振り込まれます。給付日数90日なら28日+28日+28日+6日と、およそ3回強に分けて支給される計算です。自己都合退職の場合は、これに待期7日と原則1か月の給付制限が前に付くため、離職から最初の入金までに2か月以上かかることも珍しくありません。
そして見落としやすいのが、基本手当は非課税でも、社会保険料の負担は残るという点です。基本手当そのものに所得税・住民税はかかりませんが、退職すると健康保険・年金は自分で手続きして納めることになり、住民税も前年の所得をもとに請求が続きます。上の表の金額がそのまま生活費として使えるわけではない、という前提で見ておくと計画を立てやすくなります。なお、倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者等)の場合は国民健康保険料の軽減制度が設けられていることがあるため、お住まいの市区町村にご確認ください。
⚠ 基本手当日額の上限・下限や、上の計算式で使う金額は毎年8月1日に見直されるとされています。上の表は2025年8月1日改定時点の数値をもとにした目安です。2026年8月1日以降の額については、厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更で最新の情報をご確認ください。
上の表は計算の流れを示すための目安です。実際の金額は離職理由・年齢・賃金の構成・端数処理によって変わります。正確な金額はハローワークにご確認ください。
申請から受給までの実用チェックリスト
- 退職前に雇用保険の加入期間を確認(自己都合は離職前2年で12か月以上、会社都合・特定理由は離職前1年で6か月以上)
- 退職後、勤務先から離職票1・2を受け取る(届かなければ催促・ハローワークに相談)
- 住所地のハローワークで求職申込み+受給資格決定
- 待期7日間を経過(全員共通)
- 雇用保険受給者初回説明会に出席
- 失業認定日(原則4週に1回)にハローワークへ。求職活動実績を申告
- 自己都合は**給付制限(原則1か月)**経過後に支給開始
- アルバイト・内職をした日は正直に申告(不申告は不正受給)
- 病気・出産・介護等で30日以上働けないときは受給期間延長を申請(最長4年)
必要書類
- 離職票1・2(旧勤務先からハローワーク経由で送付)
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバー確認書類
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 印鑑
- 本人名義の振込先口座の通帳・キャッシュカード
- 特定理由の場合は理由を裏付ける書類
期限・タイミング
- 失業手当の受給期間: 離職日翌日から1年(時効)
- 給付制限(自己都合): 待期7日 + 原則1か月(2025年4月改正。5年内に3回目以降の自己都合離職は3か月)
- 認定日: 原則4週間に1回(求職活動実績2回必要)
- 病気・出産等で30日以上働けない場合: 受給期間延長申請(最長4年)
問い合わせ先
- 失業手当の申請: 住所地のハローワーク
- 離職票が届かない: 旧勤務先に督促、届かなければハローワークに相談
- 国保軽減: 住所地の市区町村役場
- 個別判断: 社会保険労務士
よくある失敗
- 離職票を待ちすぎて申請が遅れる: 1年で時効、給付制限も合わさり生活が苦しくなる
- 求職活動実績が足りず認定されない: 認定日までに原則2回の活動が必要
- アルバイトを申告しない: 不正受給で3倍返し+刑事罰のリスク
- 会社都合なのに自己都合扱いで離職票が来る: ハローワークに異議申し立てが可能
- 個人事業を始めて手当を止められる: 開業届を出すと原則対象外
- 受給期間延長の申請を忘れる: 病気・出産・介護等は申請で最長4年延長
よくある質問(FAQ)
Q. 失業手当に税金や社会保険料はかかりますか? A. 基本手当は非課税で、所得税・住民税の対象になりません。ただし受給中は配偶者の社会保険の扶養(年収130万円基準)から外れる場合があります。日額3,612円以上(年換算130万円相当)を受給する間は扶養に入れないと判断する健保が多いため、加入先の健康保険にご確認ください。
Q. 給付制限が1か月になったのはいつからですか? A. 2025年4月1日以降に離職した自己都合退職者が対象です。それ以前の離職は原則2か月でした。なお5年以内に3回以上自己都合で離職した場合は3か月になります。
Q. 自己都合でも給付制限なしですぐもらえる方法はありますか? A. 離職日前1年以内または離職中に、自分の再就職に役立つ教育訓練等(2025年4月1日以降に受講開始)を受けた場合、給付制限が解除されることがあります。対象になるか、受講前にハローワークへご確認ください。
Q. 受給中にアルバイトをしてもいいですか? A. 一定の範囲なら可能ですが、働いた日や収入は必ず申告します。働いた日数・時間によってその日の手当が減額・先送りになります。無申告は不正受給となり、3倍返し(返還+納付命令)や刑事罰の対象になることがあります。
Q. 給付日数は何で決まりますか? A. 離職理由・年齢・雇用保険の加入年数で決まります。自己都合は90〜150日、会社都合(特定受給資格者)・一部の特定理由離職者は90〜330日と幅があります。具体的な日数はハローワークで確認できます。
Q. パートでも失業手当はもらえますか? A. 雇用保険に加入し、加入期間などの条件を満たせば対象になり得ます。週の所定労働時間が短く雇用保険に入っていなかった場合は対象外です。給与明細や離職票で雇用保険加入の有無を確認しましょう。
公式情報の確認ポイント
- ハローワーク 雇用保険手続き — 申請手順・必要書類
- 厚生労働省 雇用保険制度 — 制度全体
- 厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更 — 年齢別の上限・下限額
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まとめ
失業手当は離職理由で大きく変わります。会社都合・特定理由は給付制限なし・給付日数も長いので、自分が該当するか必ずハローワークで確認しましょう。離職票が届いたら速やかに動くのが鉄則です。
※本サイトは公的機関ではありません。制度の内容は年度や法改正により変わることがあります。個別の判断が必要な場合は、ハローワーク・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
最終確認日
最終確認日: 2026-06-25
制度や税制は改正されることがあります。実際に手続きをする前に、本文中の公式リンクや自治体・関係機関の最新情報をご確認ください。