「厚生年金と国民年金って何が違うの?」「自分は将来いくらもらえるの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。年金制度は仕組みが複雑で、自分がどの区分に当てはまるのかわかりにくいものです。
この記事では、厚生年金と国民年金の違い、受給額の目安、被保険者区分の見分け方を初心者向けに整理しました。
この記事でわかること
- 公的年金の基本構造(2階建て)
- 厚生年金と国民年金の違い
- 第1号・第2号・第3号被保険者の区分
- 保険料と受給額の目安
- 受給開始年齢と繰上げ・繰下げ
- よくある質問(FAQ)
まず結論
日本の公的年金は2階建て構造になっています。
- 1階:国民年金(基礎年金) … 20歳〜60歳のすべての人が加入
- 2階:厚生年金 … 会社員・公務員が国民年金に上乗せして加入
つまり、会社員・公務員は「国民年金+厚生年金」の両方を受け取れる仕組みで、自営業・フリーランスは原則「国民年金のみ」となります。
主なポイントは次のとおりです。
- 国民年金保険料は定額(2026年度は月額17,510円が目安)
- 厚生年金保険料は給与に応じた定率(会社と折半)
- 老齢基礎年金の満額は年額約81万円(2026年度・40年加入の場合)
- 厚生年金は加入期間と給与水準で受給額が変わる
被保険者の3つの区分
国民年金は、加入の仕方で3つに分かれます。
| 区分 | 主な対象 | 保険料の支払い方 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業・フリーランス・学生・無職など(20〜60歳) | 自分で納付(定額) |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員(厚生年金に加入する人) | 給与から天引き(厚生年金保険料に基礎年金分が含まれる) |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養される配偶者(原則20〜60歳) | 自己負担なし(配偶者の加入する制度が負担) |
第3号被保険者は、自分で保険料を払わなくても国民年金の加入期間としてカウントされます。ただし、扶養から外れた場合は第1号への切替手続きが必要です。
厚生年金と国民年金の違い
両制度の主な違いを比較してみましょう。
| 項目 | 国民年金(基礎年金) | 厚生年金 |
|---|---|---|
| 加入対象 | 20〜60歳のすべての人 | 会社員・公務員(70歳まで) |
| 保険料 | 月額定額(2026年度は17,510円目安) | 給与に応じた定率(労使折半) |
| 受給額 | 加入期間で決まる(満額で年約81万円) | 加入期間×平均報酬で決まる |
| 受給開始 | 原則65歳 | 原則65歳 |
| 遺族年金 | 遺族基礎年金(子のある配偶者等) | 遺族厚生年金 |
| 障害年金 | 障害基礎年金(1・2級) | 障害厚生年金(1〜3級) |
厚生年金は給与水準・加入期間に応じて受給額が増えるため、長く働いた人ほど将来受け取る年金が多くなる傾向があります。
保険料の目安
国民年金(2026年度)
- 月額17,510円(年度ごとに見直し)
- 経済的に納付が難しい場合は免除・猶予制度があります
- 学生は「学生納付特例制度」を利用可能
厚生年金
- 保険料率:18.3%(2017年9月以降固定・労使折半なので本人負担は9.15%)
- 計算式:**標準報酬月額×18.3%**を労使折半
- 厚生年金保険料には国民年金(基礎年金)分も含まれているため、別途国民年金を払う必要はない
受給額の目安
将来受け取れる年金の目安を整理します。
老齢基礎年金(国民年金部分)
- 40年(480月)すべて納付した場合の満額:年額約81万円(2026年度・月額約6.8万円)
- 未納期間や免除期間があると減額される
- 加入期間が10年未満だと受給資格がない(原則)
老齢厚生年金(厚生年金部分)
- 加入期間と平均報酬月額に応じて計算
- 厚生労働省の「ねんきん定期便」や日本年金機構の「ねんきんネット」で自分の見込み額を確認できる
- 一般的なモデル世帯(会社員夫+専業主婦)の合計年金月額は約22〜23万円とされている(厚生労働省・モデル年金)
受給開始年齢と繰上げ・繰下げ
- 原則の受給開始年齢は65歳
- 繰上げ受給(60〜64歳):1か月早めるごとに0.4%減額(最大24%減)
- 繰下げ受給(66〜75歳):1か月遅らせるごとに0.7%増額(最大84%増)
繰上げは生涯にわたって減額が続き、繰下げは生涯にわたって増額が続きます。どちらを選ぶかは、健康状態・他の収入・働き方など総合的に考える必要があります。
手続きと確認方法
| 場面 | 手続き先 |
|---|---|
| 20歳になったとき(学生・無職) | 市区町村役所 |
| 就職(厚生年金加入) | 勤務先が手続き |
| 退職(国民年金へ切替) | 市区町村役所(退職から14日以内が目安) |
| 配偶者の扶養に入る(第3号) | 配偶者の勤務先 |
| 受給開始(請求) | 年金事務所または街角の年金相談センター |
自分の加入記録や見込み額は、日本年金機構の「ねんきんネット」または毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認できます。
注意点
- 保険料額・満額の金額は毎年見直しされるため、最新値は日本年金機構の公式サイトでご確認ください
- 第3号被保険者は、配偶者の退職や離婚で資格を失うため、第1号への切替手続きが必要です
- 国民年金保険料の未納期間があると、将来の年金が減るだけでなく、障害年金・遺族年金を受けられなくなる場合があります
- 60歳以降も働き続ける場合、厚生年金加入は70歳まで継続できます
- 個別の判断はお近くの年金事務所にご相談ください
よくある質問(FAQ)
Q1. 厚生年金に加入したら国民年金は払わなくていいの? A. 厚生年金保険料には基礎年金(国民年金)分が含まれているため、別途国民年金保険料を払う必要はありません。
Q2. 第3号被保険者は保険料を払わないのに年金がもらえるの? A. 配偶者が加入する厚生年金制度全体で負担しているため、本人の個別負担は不要です。ただし扶養から外れた場合は第1号への切替が必要です。
Q3. 受給資格期間は何年必要ですか? A. 原則として10年以上の保険料納付済期間・免除期間等の合算が必要です(2017年8月以降)。
Q4. 自分の年金見込み額はどこで確認できますか? A. 日本年金機構の「ねんきんネット」または毎年誕生月に送られる「ねんきん定期便」で確認できます。
Q5. 保険料を払えないときはどうしたらいいですか? A. 国民年金には免除・納付猶予・学生納付特例などの制度があります。未納のまま放置せず、市区町村役所または年金事務所に相談しましょう。
まとめ
- 公的年金は2階建て(1階:国民年金、2階:厚生年金)
- 会社員・公務員は両方、自営業は原則国民年金のみ
- 第3号被保険者は会社員の配偶者で保険料負担なし
- 受給開始は原則65歳、繰上げ・繰下げで増減
- 自分の見込み額は「ねんきんネット」で確認可能
- 最新情報は日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」で必ずご確認ください
年金は遠い先の話に感じやすいですが、加入期間が長いほど受給額が増えるしくみです。ご自身の被保険者区分と加入記録を一度確認しておくと、将来の見通しが立てやすくなります。